昔ながらのタイル張りのお風呂、いわゆる在来工法から現代的なシステムバスへのリフォームは、非常に多くのご家庭で検討される定番の工事ですが、その内容は見た目以上に複雑です。このタイプのリフォームは、最初からシステムバスが入っているお風呂の交換に比べて、費用も工期も大幅にかかることをあらかじめ覚悟しなければなりません。費用の目安としては、最低でも百二十万円、補修が必要な場合には二百万円を超えることもあります。その最大の理由は、過酷な解体作業にあります。コンクリートとタイルでガチガチに固められた浴室を壊すには、専用の電動工具で粉砕しながら作業を行う必要があり、熟練の職人でも丸一日から二日を要します。その際に出る産業廃棄物の量も驚くほど多く、トラック数台分の廃材処分費用だけで十万円以上のコストが発生します。また、在来工法のお風呂の宿命とも言えるのが、内部の腐食問題です。タイルの目地やひび割れから長年染み込んだ水が、お風呂を支える土台や周囲の柱を腐らせているケースが非常に多く、解体して初めてその惨状が明らかになることも少なくありません。こうした損傷が見つかった場合、大工による構造の補強やシロアリ駆除といった追加工事が不可欠となり、予算が数万円から十数万円上乗せされることになります。工期についても、システムバス同士の交換なら最短二、三日で終わることもありますが、在来工法からの変更では一週間から十日間ほど見ておく必要があります。新しい土台を作るためのコンクリートが乾くのを待つ時間など、どうしても短縮できない工程があるからです。この期間中は自宅でお風呂に入れないため、家族の生活スケジュールを細かく調整し、近隣の入浴施設を利用するなどの準備が必要になります。しかし、こうした手間と費用をかけてでもリフォームする価値は十分にあります。タイル特有の足元の刺すような冷たさが消え、滑りにくく掃除が容易な床に変わることで、毎日のストレスが劇的に軽減されます。また、断熱性が向上することで浴室全体が暖まりやすくなり、家族の健康を守る空間へと生まれ変わるのです。