近年、テレビ番組やインターネットの普及により、自宅のリフォームを自分自身の手で行うDIYが大きなブームとなっています。中でも、和室の畳をフローリングに張り替える作業は、比較的チャレンジしやすいイメージがあるため、多くのDIY愛好家の関心を集めています。専門業者に依頼するよりも費用を大幅に抑えられるという魅力は確かに大きいですが、その裏には、素人では対処が難しい数々のリスクと限界が潜んでいることを、プロの視点からお伝えしたいと思います。まず、DIYで最もつまずきやすいのが「正確な下地調整」です。畳を剥がした下の床は、一見すると平らに見えても、実際には建物の経年による歪みや湿気の影響で、微妙な凹凸や傾きが生じていることがほとんどです。この下地調整を怠ったままフローリングを張ってしまうと、歩くたびに床がギシギシと音を立てる「床鳴り」や、フローリングの板同士の間に隙間が生じたり、板が反り上がったりする原因となります。プロの職人は、レーザー水平器などの専門機器を使い、ミリ単位で下地の高さを調整しますが、これを一般の方が完璧に行うのは極めて困難です。次に、見えない部分に潜む「構造的な問題」のリスクです。畳を剥がしてみて初めて、床下の木材が腐食していたり、シロアリの被害に遭っていたりすることが判明するケースは少なくありません。このような重大な問題を発見しても、DIYでは適切な対処ができません。問題に気づかずにそのままフローリングで蓋をしてしまうと、建物の構造的な強度が脅かされ、取り返しのつかない事態に発展する恐れがあります。専門家であれば、下地の状態を的確に診断し、必要な補修や補強を適切に行うことができます。さらに、フローリング材の「施工技術」も無視できません。壁際の最後の板をはめ込んだり、部屋の角や柱周りの形に合わせて板をきれいにカットしたりするには、経験と技術が必要です。慣れない作業で高価なフローリング材を何枚も無駄にしてしまったり、仕上がりが不格好になってしまったりする可能性も十分に考えられます。費用を抑えるために始めたDIYが、結果的に失敗し、結局プロにやり直しを依頼することになって、かえって高くついてしまった、という話は決して珍しくないのです。