長年、住宅の設計やリフォームに携わってきましたが、お客様から受ける和室に関するご相談内容は、時代とともに大きく変化してきました。かつては「和室をなくして洋室にしたい」というご要望が大多数でしたが、ここ数年、和室の価値を再評価し、現代の暮らしの中に新しい形で取り入れたいという方が明らかに増えています。今回は、設計士の視点から、最近の和室リフォームにおける三つの大きな流行についてお話ししたいと思います。まず第一の流行は、言うまでもなく「小上がり和室」の定着です。リビングの一角に、床を一段高くした畳スペースを設けるスタイルは、もはや定番と言っても過言ではありません。人気の理由は、その多機能性にあります。段差に腰掛けてベンチのように使え、畳の上では寝転がってくつろげる。そして、畳下を大容量の収納スペースとして活用できるという、一石三鳥のメリットがあります。最近では、単にリビングの延長としてだけでなく、小上がりの一角にカウンターデスクを造作し、子供のリビング学習スペースや親のワークスペースとして活用するプランが非常に増えています。家族の気配を感じながらも、段差によって緩やかに領域が分かれているため、程よい集中力を保つことができるのです。第二の流行は、「ミニマルな和モダン空間」への志向です。これは、伝統的な和室の要素をすべて盛り込むのではなく、本当に必要な要素だけを抽出して、シンプルで洗練された空間を創り上げるという考え方です。例えば、床の間や長押といった装飾的な要素は省き、壁はすっきりとした塗り壁や和紙調のクロスで仕上げる。畳は縁のない琉球畳を選び、照明は天井にダウンライトを埋め込む。このように、要素を削ぎ落としていくことで、畳や障子、格子といった和の素材そのものが持つ美しさが際立ち、静かで落ち着いた、質の高い空間が生まれます。旅館のような非日常感を、日常の暮らしの中に取り入れたいという方に特に支持されています。そして第三の流行が、「異素材とのコンビネーション」です。伝統的な和室は、木、土、紙、草といった自然素材で構成されていましたが、現代の和室リフォームでは、アイアンやガラス、コンクリート、タイルといった無機質な素材を敢えて組み合わせることで、新しい価値を生み出そうとする試みが増えています。