DIYで床をリフォームしたいけれど、フロアタイルのような塩ビ素材ではなく、本物の木のような質感や歩行感を求めたい。そんな少し本格志向の方におすすめなのが、「はめ込み式フローリング」です。クリックフローリングとも呼ばれるこの床材は、DIY初心者でも本格的なフローリングの仕上がりを実現できる、画期的な製品です。はめ込み式フローリングの最大の特徴は、その独自の施工方法にあります。フローリング材の側面(サネと呼ばれる部分)が特殊な形状に加工されており、接着剤や釘を使わずに、板同士を「カチッ」と音がするようにはめ込んで連結させていきます。この仕組みにより、特別な技術がなくても、隙間なく綺麗にフローリングを敷き詰めていくことが可能です。置くだけのフロアタイルと比べて、板同士がしっかりと固定されるため、施工後の床のずれや浮き上がりが起こりにくいというメリットがあります。素材も、表面に天然木の突板(つきいた)を使用したものや、木目をリアルに再現した化粧シートを貼ったものなど、様々な種類があります。特に天然木の突板を使用したタイプは、本物の木の質感や温もり、そして美しい木目を存分に楽しむことができます。歩いた時のしっかりとした感触も、塩ビ系の床材にはない魅力です。また、既存の床の上に直接施工できる「重ね張り(上張り)」が基本となるため、古い床を剥がすという大変な作業が不要なのも、DIYにおいては大きな利点です。ただし、施工にあたってはいくつかの注意点があります。まず、壁際や部屋の端の部分では、のこぎりを使ってフローリング材をカットする必要があります。カッターナイフで加工できるフロアタイルに比べると、少しだけ工具の準備と技術が必要になります。また、床材自体に厚みがあるため、施工後に床の高さが少し上がります。ドアの開閉に支障が出ないか、他の部屋との段差がどうなるかなどを、事前に確認しておくことが重要です。少しの手間と準備は必要ですが、それを乗り越えた先には、プロが施工したかのような美しいフローリングの床が待っています。