多くの人が憧れる出窓ですが、一方でその存在が悩みの種になっているケースも少なくありません。「冬は寒くて結露がひどい」「掃除がしにくい」「デザインが古くさい」「雨漏りしてきた」といった理由から、思い切って出窓を撤去し、フラットな壁と通常の窓に戻すリフォームを選ぶ人が増えています。出窓のメリットを享受するのではなく、デメリットを解消するために「なくす」という選択も、住まいを快適にするための有効な手段なのです。出窓を撤去するリフォームの最大のメリットは、断熱性能の向上です。壁から突出している出窓は、構造的に断熱の弱点となりやすく、外気の影響を直接受けてしまいます。これを撤去して、壁の中に通常の窓を設置することで、壁面がフラットになり、建物の気密性・断熱性が格段に向上します。長年悩まされていた結露や足元の冷えから解放され、冷暖房効率が上がることで光熱費の節約にも繋がります。また、雨漏りのリスクを軽減できるのも大きな利点です。出窓は屋根や外壁との取り合い部分が複雑な形状をしているため、経年劣化によってコーキングが切れるなどして雨漏りの原因となりやすい箇所です。撤去してシンプルな壁と窓にすることで、雨水の浸入経路を減らし、メンテナンスの手間と将来的な修繕費用を抑えることができます。デザイン面でのメリットも見逃せません。一昔前に流行したデザインの出窓は、現代のシンプルなインテリアには馴染みにくい場合があります。出窓をなくすことで、外観も室内もすっきりとしたモダンな印象に生まれ変わらせることができます。家具の配置に制約がなくなるため、部屋のレイアウトの自由度が高まるという効果もあります。ただし、出窓の撤去リフォームには注意点もあります。まず、工事が大掛かりになりがちであることです。出窓部分を解体し、新たに外壁、断熱材、内壁、そして窓を取り付ける必要があるため、工期も費用も比較的高額になります。外壁材によっては、補修した部分だけ色が異なり、見た目に違和感が残る可能性もあるため、外壁全体の塗装や張り替えも視野に入れる必要があります。また、当然ながら、出窓がもたらしていた開放感や採光、カウンタースペースといったメリットは失われます。これらの点を十分に考慮し、専門家と相談の上で、自分たちの暮らしにとって本当に撤去が必要かどうかを慎重に判断することが重要です。
出窓を撤去するリフォームという選択肢