憧れのリフォームを終えて、いざ新しい生活を始めてみたら「こんなはずではなかった」と後悔する。そんな悲しい事態を避けるためには、デザインを決定する段階で陥りがちな失敗のパターンを知り、それを未然に防ぐための注意点を押さえておくことが重要です。デザインにおける失敗の多くは、見た目の美しさや憧れを優先するあまり、日々の暮らしの現実的な側面を見過ごしてしまうことから生じます。最もよくある失敗例の一つが、「見た目はおしゃれだが、使い勝手が悪い」というケースです。例えば、雑誌で見た海外のホテルのような、カウンターと洗面ボウルが一体になったスタイリッシュな洗面台。しかし実際に使ってみると、水はねがひどく、カウンターの掃除が非常に大変だった、ということがあります。また、凹凸のあるデザイン性の高いタイルをキッチンの床に使った結果、溝に汚れが溜まって掃除に手間がかかる、といった例も後を絶ちません。デザインを選ぶ際には、その美しさだけでなく、日々のメンテナンス性や清掃性まで具体的にシミュレーションすることが不可欠です。次に多いのが、「コンセントやスイッチの位置と数」に関する失敗です。間取りや内装のデザインに夢中になるあまり、電気配線の計画を後回しにしてしまうと、いざ家具を配置してみたらコンセントが家具の裏に隠れてしまった、掃除機をかけるのに延長コードが必要になった、ベッドサイドでスマートフォンを充電できない、といった不便が生じます。どこにどのような家具を置き、その場所でどのように過ごすかを具体的に想定し、必要な場所に適切な数のコンセントやスイッチを計画することが、快適な暮らしの土台となります。さらに、「サンプルだけで素材を決めてしまい、全体のイメージと違った」という失敗も少なくありません。壁紙や床材、カーテンなどの内装材は、小さなサンプルで見るのと、広い面積に施工された後で見るのとでは、色味や柄の印象が大きく異なる場合があります。特に色は、面積が大きくなるほど明るく、鮮やかに感じられる傾向があります。可能な限り大きなサンプルを取り寄せたり、ショールームで実際の施工例を確認したりして、空間全体で見たときのバランスを想像することが重要です。これらの失敗例から学ぶべきは、デザインとは単なる装飾ではなく、暮らしそのものを設計する行為であるということです。
リフォームデザインで後悔しないための注意点