リフォームにおいて、空間の雰囲気を決定づける最も強力な要素の一つが「色」です。色は、私たちの視覚を通じて、空間の広さや温度感、さらには心理状態にまで影響を与える力を持っています。この色の力を理解し、戦略的に活用するカラーコーディネートは、リフォームデザインを成功させる上で欠かすことのできない重要なプロセスです。心地よく、まとまりのある空間を創り出すためのカラーコーディネートには、いくつかの基本的なルールがあります。その中でも最も広く知られているのが、色の配分比率です。空間全体の色を、床・壁・天井などの最も広い面積を占める「ベースカラー(70%)」、ソファやカーテン、建具などの主役となる「メインカラー(25%)」、そしてクッションや小物、アートなどでアクセントを加える「アクセントカラー(5%)」の三つに分類して考えます。このバランスを意識することで、色が氾濫することなく、調和の取れた美しい空間を構成することができます。色はそれぞれ、私たちの心に異なる影響を与える効果を持っています。例えば、青や緑といった寒色系の色は、心を落ち着かせ、集中力を高める効果があるため、寝室や書斎に適しているとされています。一方で、赤やオレンジ、黄色といった暖色系の色は、気分を高揚させ、食欲を増進させる効果があるため、人が集まるリビングやダイニングに取り入れると、温かく活気のある雰囲気を演出できます。ただし、鮮やかな色を使いすぎると、かえって落ち着かない空間になってしまうため、アクセントカラーとして部分的に使うのが効果的です。また、色の明るさ(明度)や鮮やかさ(彩度)をコントロールすることも、空間の印象を操作する上で重要です。白やベージュといった明るい色は、光を反射して空間を広く見せる効果があります。逆に、ダークグレーやネイビーといった暗い色は、空間を引き締め、落ち着きのある重厚な雰囲気を与えます。同じ色でも、彩度が高いビビッドな色はエネルギッシュな印象に、彩度が低いグレイッシュな色は洗練された穏やかな印象になります。どのような空間で、どのような気持ちで過ごしたいかを考え、それにふさわしい色の組み合わせを選んでいく。このプロセスは、リフォームデザインの中でも特に創造的で楽しい時間です。色の持つ力を味方につけて、自分だけの心地よい空間をデザインしてみましょう。
カラーコーディネートで心地よい空間をデザインする