我が家のリビングには、家を建てた三十年前に流行した、大きな台形の出窓がありました。新築当時は、その出窓から差し込む光が自慢でしたが、年月の経過とともに、それは悩みの種へと変わっていきました。冬になると、どこからともなく冷たい空気が流れ込み、窓ガラスは毎朝びっしょりと結露していました。カーテンには黒いカビが生え、出窓のそばにいるだけで体の芯から冷えるような感覚でした。暖房をつけても、熱がどんどん窓から逃げていくのが分かり、光熱費の高さも気になっていました。そんな状況を何年も我慢していましたが、ついに意を決して、出窓のリフォームに踏み切ることにしました。いくつかのリフォーム会社に相談し、見積もりを取った結果、既存の窓枠の上に新しい窓枠を被せる「カバー工法」での窓交換を提案してくれた、地元の工務店にお願いすることにしました。壁を壊す必要がないため、工期が一日で済み、費用も比較的抑えられるという点が決め手でした。新しい窓は、断熱性が高い樹脂サッシを選び、ガラスはアルゴンガス入りのLow-E複層ガラスという、当時の最新仕様にしました。工事当日は、朝から職人さんが来て、手際よく古いアルミサッシの窓を取り外していきました。がらんどうになった窓枠を見ると、長年の結露で木材の一部が黒ずんでいるのが分かり、リフォームを決断して本当に良かったと思いました。その後、新しい樹脂製の窓枠が慎重に取り付けられ、午後にはすべての工事が完了しました。リフォーム後の出窓は、見た目もすっきりとモダンになり、開閉も驚くほどスムーズになりました。しかし、その本当の効果を実感したのは、その年の冬が来てからです。あれほど悩まされていた結露が、全くと言っていいほど発生しなくなったのです。毎朝の窓拭きから解放された喜びは、言葉にできません。そして何より、窓辺にいても冷気を感じなくなり、リビング全体が以前よりも暖かくなったことを肌で感じました。暖房の設定温度を下げても快適に過ごせるようになり、翌年の冬の光熱費は明らかに安くなりました。今では、リフォームされた出窓のカウンターに、妻が買ってきた観葉植物が元気に育っています。冬でも安心して植物を置けるようになったのも、断熱リフォームのおかげです。たった一日の工事で、長年の悩みが解消され、暮らしの快適性がここまで向上するとは思いませんでした。
古くて寒い出窓をリフォームした体験